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「生後5ヶ月になったら離乳食」は本当?

「5か月になったら離乳食」は本当?

― 月齢ではなく、“食べる準備”から考える離乳食 ―

 

 

「もうすぐ5か月になるので、そろそろ離乳食を始めたほうがいいですか?」

小さなお子さんを育てているご家族から、このような質問をいただくことがあります。

離乳食について調べると、

「生後5〜6か月頃から始めましょう」

という情報をよく目にします。

では、

「5か月になったら離乳食を始める」

という考え方でよいのでしょうか?

実は、少し注意が必要です。

厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では、離乳の開始は「生後5〜6か月頃」が一つの目安とされています。

しかし同時に、子どもの発育・発達には個人差があるため、子どもの様子を見ながら進めることが大切だとされています。

つまり、

「5か月になったから始める」ではなく、
「5か月頃になり、食べるための準備が整ってきたかを見る」

ということが大切なのです。


「月齢」は大切。でも、それだけではありません

月齢は、離乳食を始めるうえで大切な目安です。

ただし、赤ちゃんは全員が同じスピードで発達するわけではありません。

同じ5か月でも、

  • 首のすわり方
  • 身体の安定性
  • 座る力
  • 舌の動き
  • 口唇の使い方
  • 食べ物への興味
  • スプーンへの反応

などには違いがあります。

だからこそ、

「5か月=開始日」

と考えるのではなく、

「5か月頃から、その子の食べる準備を確認していく」

という考え方が大切です。


では、「食べる準備」とは何でしょう?

離乳食というと、

「何を食べさせるか」

に目が向きがちです。

もちろん食材や栄養も大切です。

しかし、歯科医療の立場から見ると、その前に見てほしいことがあります。

それは、

「その子の身体と口が、食べる準備を始めているか」

ということです。


① 首がしっかりしてきていますか?

食べるためには、口だけが動けばよいわけではありません。

首や頭が安定していることは、食べるための大切な土台になります。

頭がぐらぐらしている状態では、口や舌も安定して動かしにくくなります。

「食べる口」を見る前に、

「食べられる身体」

が育っているかを見ることが大切です。


② 身体をある程度安定させられますか?

食事では姿勢も重要です。

身体が不安定なままでは、頭や顎の位置も安定しません。

そして、頭や顎の安定は、舌や口唇の動きにも関係します。

つまり、

身体 → 頭 → 顎 → 舌・口唇 → 食べる

というつながりがあります。

離乳食は「口から始まる」と思われがちですが、実は全身の発達とも深く関係しています。


③ 食べ物に興味を示しますか?

大人が食事をしているときに、

「じっと見る」

「口を動かす」

「手を伸ばそうとする」

など、食べ物に興味を示すようになることがあります。

こうした変化も、食べることへの準備の一つです。

もちろん、興味があるから必ずすぐ食べられるというわけではありません。

大切なのは、

身体の発達と合わせて見ていくこと

です。


④ スプーンを舌で強く押し出さなくなってきましたか?

赤ちゃんには、口に入ってきたものを舌で押し出すような反射があります。

離乳の開始時期になると、こうした反応が少しずつ変化してきます。

そのため、スプーンを口に入れたときに毎回強く押し出してしまう場合には、まだ準備の途中なのかもしれません。

「食べないからダメ」なのではありません。

まだ発達の途中なのかもしれない

と考えてみることも大切です。


「食べられる」と「安全に食べられる」は同じではありません

ここは、ぜひ知っておいていただきたいことです。

月齢が進んだからといって、どんな食べ物でも安全に食べられるようになるわけではありません。

乳幼児は、

  • 噛み砕く力がまだ十分ではない
  • 奥歯がまだ生えていない
  • 舌や口の動きが発達途中
  • 食べ物を口の中で処理する能力が未熟

という特徴があります。

そのため、食品によっては窒息の危険があります。

例えば、丸くてつるっとした食品、硬い食品、弾力のある食品などには注意が必要です。

「小さく切れば大丈夫」と単純に考えるのではなく、

大きさだけでなく、硬さ・形・弾力・滑りやすさなども考える必要があります。

そして、

「食べられる月齢」と「安全に食べられる状態」は別

だということを知っておいてください。


離乳食は「栄養を摂る」だけではありません

離乳食が始まったばかりの時期は、まだ離乳食から摂る栄養だけで成長していくわけではありません。

この時期には、

「食べる」という新しい経験を身につけていくこと

も大きな意味を持っています。

味を知る。

舌触りを知る。

スプーンを受け入れる。

唇を閉じる。

舌を動かす。

飲み込む。

少しずつ食べ物の形態が変わっていく。

こうした経験の積み重ねによって、

「吸う口」から「食べる口」へ

と、口の機能も少しずつ発達していきます。


歯が生えていなくても「食べる口」は育ちます

「まだ歯が生えていないのに、食べて大丈夫なのですか?」

という疑問を持つ方もいらっしゃいます。

離乳開始時には、歯が生えそろっている必要はありません。

最初は舌や口唇などを使って、なめらかなものを口の中で処理し、飲み込むことから始まります。

そして成長に合わせて、

舌でつぶせるもの

歯ぐきでつぶせるもの

歯を使って噛めるもの

へと、食べる機能が発達していきます。

大切なのは、

その子の発達に合わせて、食べ物の形態を少しずつ変えていくこと

です。


「早ければいい」「遅ければいい」でもありません

ここも誤解してほしくないポイントです。

「月齢だけで判断しない」とお伝えすると、

「では、発達するまでできるだけ遅らせればいいの?」

と思われるかもしれません。

そういうことでもありません。

離乳食は、

早ければよいわけでもなく、
遅ければよいわけでもなく、
月齢通りならよいわけでもありません。

大切なのは、

その子の発育・発達を見ながら、適切な時期に、適切な形で経験させていくこと。

です。


こんなときは、一度専門家に相談してください

離乳食を進める中で、

  • 食べると頻繁にむせる
  • 咳き込むことが多い
  • 口の中に食べ物をためてしまう
  • なかなか飲み込めない
  • 食事に非常に時間がかかる
  • 食べられるものが極端に限られている
  • 口からいつも食べ物が出てしまう
  • 食べることを極端に嫌がる

など、気になることが続く場合には、自己判断だけで進めず、小児科、歯科、歯科衛生士、助産師、管理栄養士など、必要に応じて専門家に相談してみてください。


「何か月だから」ではなく、「この子は今どこまでできる?」

子育てをしていると、

「○か月なら○○ができる」

という情報がたくさん入ってきます。

もちろん、こうした目安はとても便利です。

でも、目の前にいる赤ちゃんは、

「平均的な5か月の赤ちゃん」ではなく、世界に一人しかいない、その子自身です。

だからこそ、

「5か月になったから始めなきゃ」

ではなく、

「この子は今、食べる準備がどこまでできているかな?」

という視点を持ってみてください。

離乳食は、単に母乳やミルクから食事へ移行するためのものではありません。

それは、

吸う口から、食べる口へ。
飲み込む口から、噛める口へ。

そして、

「食べることって楽しい」

という経験を育てていく、大切な発達の時間でもあります。

川田デンタルクリニックでは、歯が生えてからのお口だけでなく、歯が生える前からの口腔機能の発達にも目を向けています。

「離乳食を始めたけれど、これで大丈夫なのかな?」

「食べ方が少し気になる」

「口の発達について相談したい」

そんな小さな疑問でも、ぜひご相談ください。

お子さんの「今」だけを見るのではなく、

これから食べる、話す、呼吸する、成長するための口を、一緒に育てていきましょう。

 

まとめると

生まれた月齢ではなく、お子さんの発育の具合で離乳食の開始時期や、離乳食の形態が変わってきます。

お口の機能もありますが、見た目で言うと、下の前歯もしくは上の前歯が6ヶ月前後で生えてくることが多いですが、お子さんによっては4ヶ月と早く生える子や、10ヶ月で生えてくる遅めの子もいます。数日もしくは数ヶ月の違いかもしれませんが、お子さんは個人個人、成長のスピードが異なるため、月齢で書かれていることはあくまで目安になります。

少しでも気になることがあれば、口の成長は歯科医院で、体に関することは助産師や保育士など

一人で悩まず専門分野と思われる人に聞くことをおすすめします。専門が違うところでも必要な専門家にお繋ぎすることが可能です。歯科は比較的相談しやすいところだと思いますので、ご自身の検診時に相談するのもいいかもしれません。

 

またの機会に、「食べる準備ができたサイン ○項目」や「0歳児の口腔ケア」「0歳から始める口を育てる」についても書いていく予定です

 

 

世田谷区上野毛のかかりつけ小児歯科

口腔機能、口腔環境を育てる歯医者

川田デンタルクリニック

院長 川田隆央 (監修)