BLOG 新着情報
7「丸飲み」「口にためる」「食べるのが遅い」は大丈夫?
「丸飲み」「口にためる」「食べるのが遅い」は大丈夫?
― 0〜1歳から見ておきたい「食べ方」の観察ポイント ―
離乳食が進んでくると、
「うちの子、あまり噛んでいない気がする……」
「いつまでも口の中に入れたままなんです」
「食べるのがすごく遅いんです」
そんな相談を受けることがあります。
こうした様子を見ると、
「食べ方が下手なのかな?」
「もっと噛む練習をさせたほうがいい?」
と心配になりますよね。
でも、まず知っておきたいのは、
子どもの食べ方には、発達の段階による違いがある
ということです。
「丸飲み」しているように見えるとき
離乳食を始めたばかりの赤ちゃんは、まだ大人のように上手に噛めません。
舌や顎の動きも、発達の途中です。
そのため、
「噛まずに飲み込んでいるように見える」
ことがあります。
ここで大切なのは、
「噛んでいるか・噛んでいないか」の二択で考えないこと。
口の中で食べ物をどう動かしているのか。
舌を使えているのか。
食べ物を口の中でまとめられているのか。
飲み込むまでに無理がないのか。
そうしたところを見ていきます。
「口にためる」のはなぜ?
食べ物を口に入れたまま、なかなか飲み込まない。
これも、保護者の方が心配しやすいポイントです。
でも、理由は一つとは限りません。
例えば、
・食べ物の硬さや大きさが合っていない
・口の中で食べ物を動かすのに時間がかかる
・舌を使ってまとめることがまだ難しい
・食事に集中できていない
・疲れてきている
・その食べ物が苦手(食感、味)
など、さまざまな可能性があります。
だから、
「早く飲み込みなさい!」
と急かすよりも、
「なぜ口にためているんだろう?」
と考えてみることが大切です。
「食べるのが遅い」=悪いこと?
これも、単純には判断できません。
食べるスピードには個人差があります。
ゆっくり味わいながら食べる子もいれば、どんどん食べる子もいます。
大切なのは「何分で食べ終わるか」だけではありません。
例えば、
「食事中に何度もむせる」
「口の中に長時間ためてしまう」
「飲み込むのがとても大変そう」
「食べられるものが極端に限られている」
「食事のたびに疲れてしまう」
などが重なっていないかを見てみましょう。
また、早く食べてしまう、噛まずに飲み込んでいるのも問題です。
その場合は噛んでいないのか、もしくは飲み込みに問題がある可能性もあります
「食べない」の前に「食べられない?」を考える
子どもの食事で、私たちが大切にしたい視点があります。
それは、
「食べない」のか、「食べられない」のか。
ということです。
「この子は好き嫌いが多い」
と思っていても、
実は硬さが合わない。
大きさが合わない。
口の中で動かしにくい。
飲み込みにくい。
姿勢が安定しない。
ということが隠れている場合があります。
もちろん、単純に「その味が嫌い」ということもあります。
だからこそ、決めつけずに、
「この子は、今どこで困っているんだろう?」
と観察してみることが大切です。
見てほしいのは「食べ物」だけではありません
食べ方が気になったときには、
① 食べ物
硬さ、大きさ、形、滑りやすさなど
② 口
唇、舌、顎がどう動いているか
③ 姿勢
身体が安定しているか
④ 呼吸
食事中に苦しそうにしていないか
⑤ 気持ち
嫌がっていないか、楽しめているか
⑥ 全身の発達
手や身体の動きなども含めて、全体としてどう成長しているか
こうして見ると、
「食べ方」という一つの行動の中に、たくさんの情報があることが分かります。
こんなときは専門家に相談してみましょう
もちろん、すべてを家庭だけで判断する必要はありません。
例えば、
・食事中にむせることが多い
・咳き込むことが頻繁にある
・飲み込みにくそうな様子が続く
・口の中に食べ物を長時間ためることが多い
・食事に非常に長い時間がかかる
・食べられる食品が極端に少ない
・食事を嫌がる状態が続く
・体重や成長について心配がある
などの場合には、小児科、歯科、管理栄養士、言語聴覚士など、必要に応じて専門家に相談してみましょう。
「食べ方」は、その子からのメッセージかもしれません
赤ちゃんや子どもは、
「この硬さは食べにくいよ」
「口の中で動かせないよ」
「ちょっと疲れたよ」
「今日はもういらないよ」
と、言葉で説明することはできません。
だからこそ、
食べ方そのものが、その子からのメッセージ
になることがあります。
「早く食べなさい」ではなく、
「どうしてこういう食べ方をしているんだろう?」
と一度立ち止まってみる。
それだけでも、見えてくるものが変わるかもしれません。
「食べる」を、もっと大きな視点で見てみよう
今回のシリーズでお伝えしたいのは、
「離乳食をうまく進める方法」だけではありません。
大切なのは、
その子の成長を見ながら、お口の発達を一緒に見ていくこと。
月齢だけで決めない。
食べる量だけで判断しない。
歯だけを見ない。
口だけも見ない。
口・呼吸・姿勢・身体・食べることを、ひとつながりで見ていく。
それが、子どもの「口腔環境を整える」という考え方です。
歯が生える前から、口は育っています。
そして、その口の成長は、
「食べる」だけでなく、「話す」「呼吸する」、そして将来の健康へとつながっていきます。
だからこそ、私たちは「歯」だけではなく、
その子のこれからの人生につながる「口の育ち」
を、一緒に見守っていきたいと考えています。
この記事の監修・執筆
川田 隆央(かわだ たかお)
歯科医師/川田デンタルクリニック院長(3代目)
世田谷区・上野毛で3代続く歯科医院の院長として、「歯を残すための予防歯科」を軸に診療しています。
専門分野:子どもの口腔機能の発達と小児矯正/口腔筋機能療法(MFT)
所属:日本床矯正研究会、日本口育協会(口育士)、日本小児口腔発達学会(口腔機能支援士)、日本睡眠歯科学会、嚥下トレーニング協会
川田デンタルクリニック
〒158-0093 東京都世田谷区上野毛1-25-10(東急大井町線「上野毛駅」徒歩1分)
TEL:03-3701-0550
診療時間:平日 9:30〜12:00/14:30〜18:00、土曜 9:00〜12:00/14:00〜16:00
休診日:木曜・日曜・祝日 (月曜午前のみ来院制)
この記事は2026年時点の一般的な情報です。お口の状態には個人差があり、記事の内容がすべての方に当てはまるわけではありません。気になる症状がある場合は、歯科医院でご相談ください。
お口のことで気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
ご予約・ご相談:03-3701-0550
