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なぜ「姿勢」が食べることに関係するの?

なぜ「姿勢」が食べることに関係するの?

― 足・骨盤・体幹・頭・顎はつながっている ―

 

離乳食が始まると、

「何を食べさせればいいの?」
「どのくらいの硬さにすればいい?」
「スプーンはどう使えばいい?」

ということが気になりますよね。

でも、実はもう一つ、とても大切なことがあります。

それが、「姿勢」です。

「食べることなのに、姿勢?」

そう思う方もいるかもしれません。

実は、食べるという動作は「口だけ」で行っているわけではありません。

足 → 骨盤 → 背中 → 首 → 頭 → 顎 → 舌・唇

というように、全身がつながりながら行われています。


「口が上手に動けば食べられる」わけではありません

食べるとき、赤ちゃんの口では、

・唇で食べ物を取り込む
・舌で食べ物を動かす
・頬で食べ物を支える
・顎を動かす
・唾液と混ぜる
・飲み込みやすい形にまとめる
・飲み込む

という、とても複雑な動きが起こっています。

そして、その口の動きを支えているのが、実は全身です。

例えば、身体がグラグラしている状態や足がブラブラしていたり

足が不安定な状態で、細かな作業をするのは大変ですよね。

大人でも、足元が不安定な場所で字を書いたり、箸を使ったりするのは難しくなります。

赤ちゃんも同じです。

身体が安定していることは、口を上手に使うための土台になります。


「足」がどうして口につながるの?

ここが少し意外なところです。

赤ちゃんが椅子に座ったとき、

足が宙に浮いている
↓
身体が安定しにくい
↓
骨盤や体幹が安定しにくい
↓
頭や首も安定しにくい
↓
顎や舌を細かく動かしにくい

ということがあります。

もちろん、すべての赤ちゃんがこの通りになるわけではありません。

大切なのは、

「口だけを見るのではなく、全身を見てみる」

ということです。

食べにくそうなとき、

「この子は食べるのが下手なのかな?」

と考える前に、

「身体は安定しているかな?」
「頭がグラグラしていないかな?」
「足はどうなっているかな?」

と見てみると、新しい発見があるかもしれません。


「正しい姿勢」にすることが目的ではありません

ここで注意したいのは、

「正しい姿勢にしなければ!」

と頑張りすぎないこと。

赤ちゃんの身体は、まだ発達の途中です。

月齢や発達段階によって、できることは違います。

大人のように「背筋をピン!」と伸ばすことが目的ではありません。

大切なのは、

その子が今の発達段階で、できるだけ安定して食べられる環境をつくること。

「姿勢をきれいにする」よりも、

「食べるための身体の土台をつくる」

と考えてみましょう。


食べる環境も見てみましょう

姿勢は、身体の問題だけではありません。

例えば、

・椅子の高さ
・テーブルの高さ
・足がどこかに支えられているか
・食事中に身体がずり落ちていないか
・頭が後ろに反りすぎていないか
・食べ物に手を伸ばしやすい環境か

なども関係します。

そして、もう一つ大切なのが、

「食べることに集中できる環境」

です。

テレビやスマートフォンなどに気を取られていると、食べ物を見たり、口の動きを感じたりする機会が減ってしまうことがあります。よくあるのがテレビの位置が横にあり、テレビを見ながら食事をすると顔が横を向いてしまったり、体自体がねじれた状態で食事をしていて、日常のことでご家族がそこまで気にしていないこともあります。

食事の時間は、

「ちゃんと食べさせなきゃ!」

という時間だけではなく、

「自分の身体で食べることを学ぶ時間」

でもあります。

落ち着いたお子さんになってもらうためにも、食事に集中できる環境がとても大切です。


「口を見るなら、身体も見る」

これは、これからお子さんのお口を見ていくうえで、とても大切な視点です。

歯が生えたか。
舌が動いているか。
唇が閉じられるか。

もちろん、それも大切です。

でも、それだけではありません。

食べることは、全身運動です。

だからこそ、

「口」
↓
「身体」
↓
「姿勢」
↓
「呼吸」
↓
「食べる」

というように、少し視野を広げて見てみましょう。

赤ちゃんの「食べる力」は、歯が生えた瞬間に突然完成するものではありません。

毎日の授乳、姿勢、遊び、手を使う経験、口に触れる経験、そして食事。

そうした一つひとつの経験の積み重ねの中で、少しずつ育っていきます。

「食べさせる」だけではなく、「食べる力が育つ環境をつくる」。

それが、離乳食を考えるときの大切な視点の一つです。

 

食べる力を育てることは、身体の発達を見ることでもある。

私たちはそう考えています。

次回は、さらにその先へ。

離乳食を食べることが、将来の

食べる・噛む・飲み込む・話す・呼吸する

という機能にどうつながっていくのかをお話します。

 


この記事の監修・執筆

川田 隆央(かわだ たかお)
歯科医師/川田デンタルクリニック院長(3代目)

世田谷区・上野毛で3代続く歯科医院の院長として、「歯を残すための予防歯科」を軸に診療しています。
専門分野:子どもの口腔機能の発達と小児矯正/口腔筋機能療法(MFT)

所属:日本床矯正研究会、日本口育協会(口育士)、日本小児口腔発達学会(口腔機能支援士)、日本睡眠歯科学会、嚥下トレーニング協会

川田デンタルクリニック
〒158-0093 東京都世田谷区上野毛1-25-10(東急大井町線「上野毛駅」徒歩1分)
TEL:03-3701-0550
診療時間:平日 9:30〜12:00/14:30〜18:00、土曜 9:00〜12:00/14:00〜16:00
休診日:木曜・日曜・祝日 (月曜午前のみ来院制)

この記事は2026年時点の一般的な情報です。お口の状態には個人差があり、記事の内容がすべての方に当てはまるわけではありません。気になる症状がある場合は、歯科医院でご相談ください。

お口のことで気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
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