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離乳食で育てたい「舌・唇・顎」

離乳食で育てたい「舌・唇・顎」

― 食べることは、お口の機能を育てる経験 ―

 

離乳食が始まると、

「何を食べさせよう?」

と食材に目が向きます。

もちろん栄養は大切です。

でも、歯科医師・歯科衛生士の立場から見ると、もう一つ大切にしてほしいことがあります。

それは、

「その食べ物を、口でどう扱っているか」です。


食べるとき、唇は何をしている?

唇には、

  • 食べ物を取り込む
  • 食べ物をこぼさない
  • 口を閉じる
  • 食べ物を口の中に保持する

などの役割があります。

スプーンから食べ物を受け取るときにも、唇は働いています。


舌は「食べ物を運ぶ」役割をしている

舌は、食べるための非常に重要な器官です。

食べ物を、

前から受け取る
↓
口の中で動かす(前後、左右に)
↓
まとめる
↓
飲み込む方向へ送る

という働きをします。

離乳食が進むにつれて、舌の使い方も少しずつ変わっていきます。

 

歯が生えてき始める離乳食期(離乳中期〜後期:生後7〜11ヶ月頃)の赤ちゃんの舌は、

前後だけの動きから「上下」や「左右」への複雑な動きへと発達します

月齢・歯の生え方に合わせた舌の動き

  • 離乳中期(生後7〜8ヶ月頃 / 下の前歯が生え始める頃)
    • 舌の動き: 舌が「上下」に動くようになる。
    • 食べ方の特徴: 食べ物を舌で持ち上げ、上顎(口蓋)との間に挟んで押し潰して食べる。
    • 食事の目安: 豆腐やヨーグルトのように、舌で軽く潰せる柔らかさ

  • 離乳後期(生後9〜11ヶ月頃 / 上下の前歯が生え始める頃)
    • 舌の動き: 舌が「上下の動き」から「左右」に動くようになる。
    • 食べ方の特徴: 食べ物を舌で左右の奥歯(歯ぐき)のほうへ送り込み、すり潰して食べる。
    • 食事の目安: バナナくらいの、歯ぐきで潰せる固さ。手づかみ食べも始まる時期。 (1つの目安)

この時期に大切なポイント

  • 奥歯で押し潰す練習: 食べ物を口の真ん中だけでなく、少し左右の歯ぐきに乗せるようにして与えると、舌の左右の動きが自然に促されます。 

  • スプーンの使い方: 上顎にスプーンを強くこすりつけたり、奥まで突っ込んだりせず、下唇(下のクチビル)の上にスプーンを置いて、赤ちゃんが自分で上唇を下ろして取り込むのを待つ。

顎は「噛む」ための土台

さらに食形態が変化していくと、顎の動きも重要になります。

最初はなめらかなものから始まり、発達に合わせて少しずつ固さや形状が変化します。

その中で、

舌・頬・顎・唇

が協調して働くようになっていきます。

「噛む」というのは、歯だけの仕事ではありません。

ここがむずかしいところ。歯があるから噛めるではなく、口腔機能が働くことで噛むことができる。

舌の動き、口の動き、唇の動き、全てがうまく連動してこないとどこかでうまく噛めず、飲み込みができない


歯がない時期から「食べる機能」は育っている

「歯がないのに噛むの?」

と思うかもしれません。

離乳開始時期には、歯が生えそろっている必要はありません。

最初は舌や口唇などを使って食物を処理し、徐々に食形態が変わっていく中で、歯ぐきや歯を使った咀嚼へと発達していきます。

だから、

歯が生える前から、お口の機能は育っている

のです。


「食べさせる」より「経験させる」

離乳食では、

「全部食べさせなければ」

と頑張りすぎなくても大丈夫です。

初めての味。

初めての舌触り。

初めての温度。

初めての形。

こうした経験そのものが、食べる機能の発達につながります。

もちろん、発達に合わせた安全な食形態であることが大前提です。


歯科医院で見るのは「歯」だけではありません

歯科医院では、

  • 歯が生えてきたか
  • むし歯がないか

だけではなく、

必要に応じて、

  • 唇の動き
  • 舌の動き
  • 顎の動き
  • 口の閉じ方
  • 食べ方
  • 飲み込み
  • 口腔内の状態

などを含めて考えていくことができます。

現在では口腔機能を見る検査もあり、口腔機能がうまく発育発達していなければ

口腔機能発達不全症という病名で、検査や治療(トレーニング)を行う必要が出てきます。

 

食べることは、

「歯が生えてから始まる」のではありません。

歯が生える前から、すでに始まっているのです。

次回は、その「食べる口」を支えている、意外と重要なものについてお話します。

それが、

「姿勢」

です。


この記事の監修・執筆

川田 隆央(かわだ たかお)
歯科医師/川田デンタルクリニック院長(3代目)

世田谷区・上野毛で3代続く歯科医院の院長として、「歯を残すための予防歯科」を軸に診療しています。
専門分野:子どもの口腔機能の発達と小児矯正/口腔筋機能療法(MFT)

所属:日本床矯正研究会、日本口育協会(口育士)、日本小児口腔発達学会(口腔機能支援士)、日本睡眠歯科学会、嚥下トレーニング協会

川田デンタルクリニック
〒158-0093 東京都世田谷区上野毛1-25-10(東急大井町線「上野毛駅」徒歩1分)
TEL:03-3701-0550
診療時間:平日 9:30〜12:00/14:30〜18:00、土曜 9:00〜12:00/14:00〜16:00
休診日:木曜・日曜・祝日 (月曜午前のみ来院制)

この記事は2026年時点の一般的な情報です。お口の状態には個人差があり、記事の内容がすべての方に当てはまるわけではありません。気になる症状がある場合は、歯科医院でご相談ください。

お口のことで気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
ご予約・ご相談:03-3701-0550

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