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オーラルフレイルについて
「オーラルフレイル」って聞いたことありますか?
オーラルフレイルは、直訳すると「お口の衰え」のことです。
単に歯を失うことだけでなく、食べたり、喋ったりといったお口全体の機能が少しずつ低下し、
それが全身の老化(フレイル)へとつながっていく「入り口」の段階を指します。
まずは簡単にチェックできる5つ項目を確認してみましょう!
1 ご自身の歯は何本ありますか?(インプラントは自分の歯とは数えません)
2 半年前と比べて、固いものが食べにくくなりましたか?
3 お茶や汁物でむせることはありますか?
4 口の渇きが気になりますか?
5 普段の会話で言葉をはっきりと発音できないことはありますか?
上記5つのうち、2項目以上あるとオーラルフレイルとなります
1. 何歳から始まり、これから増えていくのか
対象となる年齢層
一般的には65歳以上の高齢期に顕著になりますが、その予兆(プレ・オーラルフレイル)は40代〜50代から始まっていると言われています。
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「少しむせやすくなった」
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「滑舌が悪くなった」 といった、自分でも見過ごしてしまうほどの些細な衰えがスタート地点です。
今後の推移
日本は超高齢社会にあるため、オーラルフレイルに該当する人は今後も確実に増加します。 また、近年は「8020運動(80歳で20本の歯を残そう)」の成果で自分の歯を持つ高齢者が増えましたが、歯があっても「噛む力」や「飲み込む力」が伴っていなければオーラルフレイルは進行するため、よりきめ細やかなケアが注目されています。
これからは虫歯や歯周病の予防で定期的にかかりつけ歯科医院に行くのは当たり前で
全身の健康やQOLのために「食べる、飲み込む、話す」などの機能を
より良い状態を長く続けるために歯科医院に行くことがスタンダートになります。
世田谷区上野毛のかかりつけ歯科医院の川田デンタルクリニックは
今後、オーラルフレイル、口腔機能の予防に向けた診療に重点を置き
皆様の健康のサポートをしていきます。
2. どのような症状があるのか
自分や家族で気づきやすいチェックポイントは以下の通りです。
3. 進むとどうなってしまうのか(負の連鎖)
オーラルフレイルの恐ろしさは、単にお口の問題で終わらず、「負の連鎖(オーラル・ドミノ)」を引き起こす点にあります。
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食事の制限: 硬いものを避け、柔らかいものばかり食べるようになる。
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栄養の偏り: タンパク質やビタミンが不足し、低栄養状態になる。(食べる、噛むが難しくなり柔らかいものが増えるため)
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筋肉の低下(サルコペニア): 栄養不足により全身の筋力が低下し、歩行などが困難になる。
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社会性の欠如: 喋りにくい・外食がしにくいため、外出や人との交流を避けるようになる。
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要介護・死亡リスク: 最終的に介護が必要な状態になりやすく、ある研究ではオーラルフレイルの人はそうでない人に比べ、要介護認定や死亡のリスクが約2倍になるというデータもあります。
ある調査で、オーラルフレイルの人はそうでない人と比べ、2年以内に身体的フレイルを発症する確率が2.4倍、サルコペニア(加齢や疾患に筋肉量と筋力が低下する病気)が2.1倍、要介護認定2.4倍、総死亡リスク2.1倍になることがわかってきました。ここから言えることは、お口のささいな衰えを甘く見てはいけない、口だけでなく全身の健康に影響を与えるということです。
4. 予防のためにできること
オーラルフレイルは、早い段階で気づき、適切なトレーニングやケアを行うことで「元の健康な状態に戻せる」のが大きな特徴です。
または衰えているところをいい状態に回復させることが可能です。そのためにできることを3つ挙げてみます。
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お口の体操: 「パ・タ・カ・ラ」と発声するパタカラ体操などで、舌や頬の筋肉を鍛える。
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定期的な歯科検診: 歯だけでなく、噛む力や飲み込む力の検査(口腔機能発達不全症・口腔機能低下症の検査)を受ける。
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丁寧なセルフケア: 歯周病や虫歯を予防し、自分の歯を1本でも多く健康に残す。
「年のせいだから」と片付けず、お口を意識的に動かすことが、全身の若々しさを保つ鍵となります。
専門的な介入の重要性について、いくつか重要な視点を補足していきます。
1. 「口腔機能低下症」としての診断と介入
オーラルフレイルは概念的な言葉ですが、歯科医院では「口腔機能低下症」という病名として客観的に診断が可能です。
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数値による見える化: 舌圧(舌の力)、咀嚼能力(噛む効率)、咬合力(噛み締める力)などを専用の機器で測定します。
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保険適用の検査: 65歳以上であれば、これらの検査に保険が適用されるケースが多く、科学的なデータに基づいて「今の自分の位置」を把握することが、患者さんのモチベーション維持には不可欠です。現在は50歳以上の方が対象になっています
あるデータでは50歳で約半数、70代で8割以上が口腔機能低下症に該当すると言われています。
これだけ多い人が対象になる可能性があるため、50歳を過ぎたら口腔機能低下症の検査を受けることが必須になってくると思われます。
・口腔衛生状態不良:汚れが落ちにくい、口臭がある
・口腔乾燥:口の中が乾く、唾液が少ない
・咬合力低下:噛む力が弱くなる、硬いものが食べにくい
・舌口唇運動機能低下:食べこぼしが増える、滑舌が悪くなる
・低舌圧:飲み込みにくい、薬が喉に残りやすい
・咀嚼(そしゃく)機能低下:しっかり噛めない
・嚥下(えんげ)機能低下:食事中にむせる、時間がかかる
オーラルフレイルのチェック項目と似ていますが、より詳しい検査項目になります。
2. 「自律神経」と「呼吸」の密接な関係
お口の機能は、単に「食べる」だけでなく、「呼吸」を通じて自律神経に大きな影響を与えます。
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低位舌のリスク: 舌が本来あるべき位置(上顎のスポット)から落ちていると、気道が狭くなり、口呼吸を誘発します。口呼吸により口が乾燥し、飲み込みが難しくなったり、虫歯歯周病のリスクが上がります。
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全身への波及: 口呼吸は自律神経のバランスを乱し、免疫力の低下や睡眠の質の悪化を招きます。オーラルフレイルへのアプローチは、実は「良質な呼吸と睡眠を取り戻すこと」と同義でもあります。
3. 「炎症」をコントロールする重要性
オーラルフレイルの進行と並行してケアすべきなのが、慢性炎症としての歯周病です。
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ドミノの加速を防ぐ: 歯周病による炎症性サイトカインは、血管を通じて全身に回り、糖尿病の悪化や認知症、動脈硬化のリスクを高めます。
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栄養吸収の土台: どんなに良い栄養(タンパク質など)を摂取しても、口腔内に炎症があれば、効率的な代謝や吸収が阻害されます。
4. 心理的アプローチと行動変容
「体操をしてください」と伝えるだけでは、習慣化は難しいことがあります。
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価値観との接続: その方が「人生の後半をどう過ごしたいか」というコアな価値観とお口の健康をリンクさせることが、行動変容の鍵となります。
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心理的障壁の除去: 私たち歯科医師や歯科医院のスタッフは皆さん(患者さん)の生活に寄り添う「コーチング」の視点を持つことで、オーラルフレイル予防の実効性を高めることができると考えています。
歯科医院の役割の変化
これからの歯科医療は、削って詰める「修復」の時代から、お口の機能を維持・向上させ、その方の「根っこ(心身の基盤)」を整える時代へとシフトしています。
オーラルフレイルの予防は、まさにその中心にあります。定期的なプロフェッショナルによるチェックと、日々のセルフケア・トレーニングが組み合わさることで、真の意味での「健康寿命の延伸」が達成されると考えられ、川田デンタルクリニックではそこに力を注いでいきます。
オーラルフレイルの予防は、「動かす」「食べる」「整える」の3つの柱を意識することが重要です。日々の習慣に少し加えるだけで、お口の機能は維持・改善できます。
オーラルフレイルの予防やトレーニング(改善)について具体的な方法を詳しく解説します。
1. お口のトレーニング(「動かす」)
お口周りの筋肉(表情筋、舌筋、咀嚼筋)を鍛えることで、飲み込みや滑舌をスムーズにします。
パタカラ体操
食べこぼしや飲み込みの改善に最も有名な体操です。「パ・タ・カ・ラ」をそれぞれしっかり発音します。
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「パ」: 唇をしっかり閉じ、唇の筋力を鍛える(食べこぼし防止)。
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「タ」: 舌の先を上の歯の裏につけ、食べ物を押し込む力を鍛える。
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「カ」: 喉の奥を閉めて、誤嚥(ごえん)を防ぐ力を鍛える。舌の奥を動かす
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「ラ」: 舌を丸めて、食べ物を喉へ運ぶ力を鍛える。
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やり方: 各文字を5回ずつ、あるいは「パタカラ」と続けて5〜10回繰り返します。
あいうべ体操
舌の筋肉(舌筋)を鍛え、「舌の正しい位置(スポット)」を維持するための体操です。
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「あー」(口を大きく開く)
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「いー」(口を横に大きく広げる)
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「うー」(唇を強く前に突き出す)
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「べー」(舌を突き出して下に伸ばす)
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ポイント: 声は出さなくてもOKです。1日30回を目安に行うと、口呼吸の改善にもつながります。
2. 栄養と食事の工夫(「食べる」)
単に栄養を摂るだけでなく、「しっかり噛める内容」と「筋肉を作る栄養」がポイントです。
筋肉を作る「高タンパク質」
筋肉の衰え(サルコペニア)を防ぐため、タンパク質を積極的に摂りましょう。
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肉、魚、卵、大豆製品、乳製品を毎食バランスよく取り入れます。
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特に高齢になると食事量が減りがちなため、間食にヨーグルトやチーズを取り入れるのも有効です。
多様な食形態(噛みごたえ)
柔らかいものばかり選ぶと、噛む筋肉がさらに衰えます。
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少し硬い食材: 根菜類、キノコ類、ナッツなど、意識して「噛む回数」が増える食材をメニューに加えます。
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切り方の工夫: 食材を少し大きめに切るだけでも、咀嚼回数を増やすことができます。
水分補給
口の中が乾くと細菌が繁殖しやすく、飲み込みも悪くなります。こまめな水分補給で口腔内を潤し、唾液の分泌を促しましょう。
3. 生活習慣と環境(「整える」)
物理的なケアだけでなく、意識や環境も大切です。
鼻呼吸の意識
口呼吸は口腔内を乾燥させ、自律神経の乱れや免疫力の低下を招くことがあります。「口を閉じ、鼻で息をする」ことを意識し、安静時の舌の位置が上顎(スポット)についているか確認しましょう。
共食(だれかと一緒に食べる)
「誰かと話しながら食べる」ことは、それ自体が最高のお口のトレーニングです。
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会話をすることで口を動かし、表情も豊かになります。
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また、多人数で食べる方が食欲が増し、栄養状態が改善されるというデータもあります。
セルフケアとプロケアの両立
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セルフケア: 毎食後の歯磨き、歯間ブラシやフロスの使用。
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プロケア: 3〜4ヶ月に一度は歯科医院で検診を受け、自分では気づけない歯ぐきの状態や「噛む力・飲み込む力」の客観的なチェックを受けることが、オーラルフレイル予防の最短ルートです。
今のうちから「お口の筋トレ」を習慣にすることで、将来の全身の健康に大きな差が出ます。まずは、食事前の「パタカラ」10回から始めてみるのはいかがでしょうか?
以上、いますぐできることや、歯科医院での検査の重要性について書いてきました。
オーラルフレイルは気付かないうちに進行し、全身の健康に影響し、生活の質に直結します。
よく高齢の方に、若い時にやっておけばよかったことなどの質問の答えが、
「旅行に行っておけばよかった」「健康な生活を送ればよかった」「歯の検診、治療をちゃんとすればよかった」などが上がってきます。それだけ年を重ねると歯の重要性や、食べることの重要性、生きがいに大切なのは歯でありセルフケアであり、歯科検診であることがわかってくるようです。
歯科医院は治療する場ではなく、皆さん一人一人の全身の健康をサポートする場であり、心・心身(口)を含めた笑顔を創造する健康ステーションだと思っています。世田谷区上野毛のかかりつけ歯科医院の川田デンタルクリニックは先代の時代から予防と健康のための診療を皆さまに提供しています。これからはより心身の健康のサポートができるよう、オーラルフレイル、口腔機能低下症、さらには口腔機能発達不全症の検査、治療に力を入れて地域のかかりつけ歯科となれるように日々邁進していきます。
